
一人の絶対的権力者がすべてを支配する独裁体制というものがある。
この体制特徴は、独裁者その人が生きているか元気なときには、大変に強固な体制なのだが、重病になったり死んでしまったりすると、とたんに崩壊をしてしまうことにある。それは国家でも芸能プロダクションでもおなじことである。
今、我が世の春を謳歌していたある事務所の体制崩壊がとまらない。
最盛期には帝国ともいわれ、男性アイドルたちを多くかかえ、我が世の春を謳歌していた最大手の芸能事務所Zが、所属タレントの独立と離反に身悶えして、いまやその影響力はみるかげもない。
なぜならば、創業者にして絶対の支配者であった社長が亡くなったからである。
仮にA氏としておこう。
A氏は渋谷区の、というよりも北青山にあるタワーマンションの最上階に住んでいた。そして、そのマンションには常に、彼のお気に入りの男性タレントが複数名を住まわせていた。
A氏がゲイであったことは業界では知らない者はいない。(なお、筆者はA氏のセクシャリティーを揶揄うつもりなど更々なく、また非難もしない)
そして、その中でなにが行われていたかはご想像にまかせる。拒むものも中にはゼロではなかったなかったらしいが、声をかけられた者のうちほぼ全員が、このマンションに一緒に住むことを選んだ。
A氏はこの事務所の独裁者であり、芸能界に隠然たる権力を持つ人でもあった。
彼に気に入られるかどうかは、その後の芸能人生を決定づける絶対的な要素だったからだ。だから彼が亡くなったと同時に、その支配から解放されたアイドルたちはあるいは反乱を、あるいは脱走をし始めたのだ。
この現象の最初のものとしては、やはりという国民的アイドルグループXの解散とメンバーの離脱に触れなければいけないだろう。
そこで、この事情をよく知る関係者から話をうかがってきた。
「これはね、A氏が生前に遺言で、ゆくゆくは事務所の社長としてメンバーの中で一番人気のあったB(現在もZに所属する現役大スター)を指名したたからなんですよ。Z事務所には長い歴史があることからも、これまでの間にAさんのお気に入りだったり、大きな功績を残した功労者なども歴代には大勢いるわけなんだけれど、それらをすべてスッ飛ばして、なぜか次の後継者はBとなっちゃった。このことにほかのメンバーや古参のタレント、その子分にあたる連中は激怒した。ただでさえ、独裁者が亡くなって不安定になった組織が、これで一挙に崩壊し始めたというわけなんですよ」
意外な事実だが、日本の殆どの大手マスコミはこんなことすら報道をしようとしていない。それとも、この後に手のひらを返して、したり顔でなにか言い始めるのだろうか。
今回は以上。
(ヴァールハイト及部 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
【著者紹介:ヴァールハイト及部 1968年 横浜市出身 大学卒業後サラリーマン生活を経て、フリーランスとして、映画・ショービジネス界で仕事をしている。芸能界ウォッチーでもある。】
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