
隕石が落ちてきて都市が壊滅する、というのは創作の世界でありがちな展開だが、人類の長い歴史の中では実際に「隕石で壊滅した」と考えられる事例も存在している事が明らかになった。
シリア北部に位置するアブフレイラには、狩猟採集民が定住していたとみられる村の遺跡が存在している。
発見は1970年代、遺跡からは集落が「炎に包まれていた」ことを示す証拠が上がっていたが、恐らく火災によるものであろうと考えられていた。だが、この度新たな調査が行われた結果、村が恐らく約13,000年前に「空から落ちてきた隕石によって壊滅した」という事が判明したのである。
今回の研究に携わった考古学者のアンドリュー・ムーア氏によれば、村で見つかった物質を分析した所、特定のミネラルが溶けるには摂氏2,000度を超える温度を必要とすることを確認した。
通常の火災では起き得ない高温であるため、隕石等の落下により土や砂が解けガラス状になるほどの熱が発生したと考えられる、と結論づけた。
なお、落下してきたものは隕石というよりも彗星の破片とみられている。破片と言ってもその威力はすさまじく、大きな衝撃波を生むとみられている。数年前にロシアで発生したチェリャビンスク州の隕石落下事例を見てもその威力は明らかだ。
ムーア氏は、「隕石よりもこのようなデブリが落ちてきて地球に様々な破壊や影響をもたらしてきた事の方が多いでしょう」と語っている。
(田中尚 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
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