【誰も信じてくれない】「オオカミおじさん」やけっぱちの最後っ屁

羊飼いの少年が退屈しのぎに「狼が来た!」と嘘をついて騒ぎを起こすという、お馴染みのイソップ童話に『嘘をつく少年』という話がある。

『オオカミ少年』という別タイトルも存在するこの童話は、嘘をつきすぎた少年が、村の大人達から信用を失い、本当に狼が現れた時には、最終的に誰も助けに来ず羊を全て食べられるという皮肉なラストを迎えることになる。

この『オオカミ少年』のエピソードさながらの事件が、実際に昭和末期の日本で発生したことがあるのをご存じだろうか。




1981年(昭和56年)12月17日、午後0時頃、東京都渋谷区のとあるアパートに住むN(57歳)の自宅から出火。モルタル二階建ての同アパートほぼ全焼し、入居していた13世帯が焼け出される事態となった。

代々木署が調べたところ、アパートの前の路上に座り込み燃えるのを見ていたNが「自分が火をつけた」と認めたため放火の現行犯で逮捕と相成った。

調べに対し、Nは「誰も俺のことを信じてくれなかったからだ」と警察に訴えたという。

当時の新聞(読売新聞1981年12月18日)のほか、事故の詳細を記述している「明治・大正・昭和・平成 事件&犯罪大辞典」(東京法経学院出版)によると、Nは数年前から体調を悪くして、職に就くことが難しかったため、毎日自宅で療養生活を送っていた。




手に力の入らないNは吸っていたタバコを床に落とすこともしょっちゅうで、「火事になる!助けてくれ!」と隣人に助けを求めていたという。しかし、毎晩のように各部屋をノックして回っていたために徐々に周囲の人も付き合いきれず無視することも増えていったという。

そして、事件の起こった17日もNは室内でタバコを落とし「火事だ!」と各部屋をノックして回ったが、ガン無視され、遂に誰も駆けつけなかったらしいのだ。

その現実に絶望したNは「そうか。誰も来ないのか」と火のついたタバコをカーテンに近づけて、火を放ちパニックになる隣人たち姿をひとり見つめ、笑っていたという。

まさに現代の「オオカミ少年」的な珍事件である。

緊急事態宣言はいまだ東京都内では続いている。ほとんどの時間を自宅で過ごす人も多いことからも、喫煙者にとってタバコの火の不始末には要注意である。

(文:穂積昭雪 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

画像©SECONDHoLE photo AC

 

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