日本人に内在する環太平洋「ムー文化圏」盟主としての和の心

画像©Jonny Belvedere PIXABAY

「ムー大陸」はどこにあったのか

ムー大陸とは、イギリス陸軍大佐を自称するジェームズ・チャーチワード(1851年~1936年)がインド中部のヒンドゥー寺院で発見したと主張する「ナーカル粘土板」に、古代の絵文字(ムー文字)で記述された人類起源の地のことだ。

太平洋の中心にあるその巨大な大陸には、帝王「ラ・ムー(太陽の子)」のもと太陽信仰を求心力とした祭政一致の帝国が築かれ、最盛時は6400万人の人口を擁していた。だが、紀元前1万年に大地震が襲い、大陸は一夜にして海の底に消えてしまったという。

事実なら驚くべき話だが、現代の地質学から考えて、太平洋の真ん中に巨大な大陸があった可能性は皆無だ。しかし、マレーシアやインドネシアの島々のあたりにかつて「スンダランド古大陸」という広大な陸地が存在したことが分かっており、ここをチャージワードの言う「ムー大陸」と考えることは可能だろう。


画像©wikipedia Map from “The Lost Continent of Mu”, 1927. By james Churchward




日本も一翼を担った「ムー文化圏」

チャーチワードによると、ムー文明の痕跡はイースター島のモアイやポナペ島のナン・マドール遺跡に残っているという。

彼の経歴や粘土板発見の話については怪しげなところもあるが、南太平洋から東南アジア、日本へと至る環太平洋地域の南側と西側には確かに共通した神話や習俗が残っており、スンダランド古大陸を中継地点とした「ムー文化圏」でもいうべき一大文化圏が形成されていたのは間違いない。

チャーチワードに触発された研究者らは、グアムやサイパンに見られる「ラッテストーン」と呼ばれる石柱群や、沖縄の与那国島海底遺跡などもムー大陸の痕跡と見なしている。また、沖縄県立博物館に収蔵されている古代の線刻石版の絵文字は、チャーチワードの主張する「ムー文字」によく似ており、これも大変興味深い。

「ムー文化圏」は広範囲に及んでいたため、ムーに言及した「ナーカル粘土板」が書かれた遠いインドの地からは大陸に見えたのではないだろうか。南太平洋イースター島のロンゴロンゴ文字は古代インドのインダス文字によく似ているが、これはムー文明の記録がインドに残っていたことに関係してきそうだ。


画像©LuisValiente PIXABAY

南太平洋で見つけた「古事記」

「ムー文化圏」の証拠としてはほかに、「古事記」の海幸彦と山幸彦の話に類似した神話が、南西太平洋ソロモン諸島のマライタ島にも伝承されていることなどが挙げられる。

海幸彦と山幸彦の話は、兄の海幸彦から借りた釣り針を失くした山幸彦が小舟で竜宮へ行って海神と会い、その海神に魚を集めてもらって釣り針を見つけるという内容。一方、マライタ島には、父親から借りた釣り針を失くした少年がカヌーで島にたどり着き、そこにいた巨人が魚を集めて釣り針を見つけてくれるという話が伝承されている。

5400キロほども離れた日本とマライタ島それぞれに伝わる、この2つの話はほとんど同内容といっていいだろう。

マライタ島以外にも環太平洋地域の島々のいくつかではこれに類似した話が伝承されており、また、船乗りが遭難避けのまじないとして身内の女性の持ち物を携帯するという習俗も、環太平洋地域の島々に点在する。もちろん日本もその1つだ。

音と脳の研究が明らかにした日本人の「和」の心

ここで注目してみたいのが、東京医科歯科大学名誉教授の角田忠信氏が提唱した「ツノダテスト」による日本人の特殊性についての研究だ。

ツノダテストでは音に対して左右の脳のどちらが反応するかを調べるのだが、そこで分かったのは、欧米人が言語に含まれる子音以外の音を右脳で受け取るのに対し、日本人の脳は洋楽楽器の音と機械音だけを右脳で受け取り、そのほかの音は左脳で受け取るということだった。

左脳は言語脳といい、言語をつかさどっており、ツノダテストのこの結果は日本人が自然のさりげない音の中に詩情を見出してきたことの理由を説明するものとなる。

つまり、欧米人にとって自然の中の虫や動物の鳴き声、木々のざわめき、波や風の音は意味のない雑音でしかないが、日本人にとっては意味と生命が宿った、自然からの語り掛けに聞こえるということだ。古来、日本人が「和」(調和)を大切にしてきたのもこれに関係するだろう。

鎮守の森を大切にした神社のありようを見ても分かるように、日本人の考える「和」には人間関係や社会だけでなく大自然との調和も含まれていた。

世界的に環境破壊が進行しつつある昨今、我々日本人はこの「和」の心をふたたび取り戻し、世界に発信していく義務があるといっても言い過ぎではないはずだ。


画像©のきさと photo AC




環太平洋「ムー文化圏」の盟主は日本人であり天皇か?

さて、ツノダテストでは、南太平洋に広く分布するポリネシア人たちもまた、日本人のようにほとんどの音を左脳で受け取ることが分かっている。つまり、ポリネシアの人々も日本人のような「和」の心を持ちうることになる。

興味深いのは、ポリネシア地域の国であるニュージーランドの先住民・ワイタハ族の長老が、「我々は龍蛇族であり、その頂点には日本の天皇がいる」と語っていることだ。龍蛇族という言葉の正確な意味は定かでないが、ここまで触れてきたことで言えば、環太平洋「ムー文化圏」の盟主は日本人であると解釈してもいいだろう。

天皇については、歴史の中で天皇の地位をめぐり争いが起きたこともあるとはいえ、大和朝廷の興りは争いではなく平和裏に大和地方が平定され、力のある豪族たちが協同して天皇を擁立して成立したものと考えられており、その意味で天皇はまさに「和」の象徴といえる。

ワイタハ族長老の「我々は龍蛇族であり、その頂点には日本の天皇がいる」という言葉は、そういうことを言っているのではないだろうか。

こうした「和」の心という観点から、改めて国際社会における日本人の役割について考えてみたいところだ。


画像©michelle lagatule PIXABAY

(神谷充彦 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

 

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