特撮作品と日本文化との共通点とは何か?~昭和特撮編~ 【前編】

 『ウルトラマンシリーズ』や『仮面ライダーシリーズ』、『スーパー戦隊シリーズ』等のヒーローと悪の戦いを描いた特撮作品には、日本が誇る伝統文化の歌舞伎などとの共通点を持っている。

 本記事では、それらの詳細や比較について論じていこうと思うので、読者諸氏にもお付き合い願いたい。

 まず、特撮と日本文化の1つの共通点として挙げたいのは〝勧善懲悪〟という要素である。

 この「正しき者が悪しき者を挫く」という、古今東西を問わずあらゆる物語の大きなお約束パターンに適用されている展開は、聖徳太子が定めた十七条憲法の第六条には既に記述されており、我々日本人には古来より植え付けられた思想と言えよう。

 正徳3年 (1713年)から上演された歌舞伎『助六』は、顔面全体を真っ白く塗りたくり、その目元等の上から赤い「隈取り」と呼ばれる化粧を施した主人公が、現代風に言うと〝オーバーアクション〟な演技をしながら劇中の悪人を退治するという勧善懲悪の作風が庶民の心を掴み、現代でも古典歌舞伎の代表作として語り継がれている。




 余談だが、前述した助六の主役のビジュアルは、アラフォー世代の読者にはドリフターズの加藤茶氏が『ドリフの大爆笑』内で度々披露していた〝歌舞伎コント〟のメイクと言えばピンと来られた方も多いのでは(笑)?

 さて、日本国産としては初の特撮ヒーローとなったのは川内康範氏原作の『月光仮面』【1958年2月24日放送開始】だ。

 純白の衣装と覆面、更にサングラスをかけた〝正体不明の正義のヒーロー〟である月光仮面が、二丁拳銃を武器に怪人サタンの爪や怪獣マンモスコングといった悪を退治する勧善懲悪を主体とした作風が、当時の子供たちの心に響き、平均視聴率が40%を誇る大人気番組となった。

 更に付け加えると、番組放送当時は月光仮面に憧れて、その真似をした子供たちの間に怪我人が多発した結果、本作は超人気番組にも関わらず1959年7月5日の放送を以って、打ち切りとされてしまった。

 前述した事例から見ても、歌舞伎等の文化で培われた勧善懲悪という思想は、日本人の心に深く残っていることを証明しており、それ故に、その要素が色濃い『月光仮面』という特撮作品が、当時の少年たちに大ヒットしたのは至極当然であり、それは日本文化と特撮作品の1つの共通点と言えるのではないだろうか?

 同作の大ヒット以降、日本の特撮作品はM78星雲の使者ウルトラマンと怪獣&宇宙人との戦いを描いた『ウルトラマン』【1966年7月17日放送開始】しかり、悪の組織によって生身の肉体とは異なる改造人間の悲哀を描いた『仮面ライダー』【1971年4月3日放送開始】など、現在も新作が放映される人気シリーズが続々と産み出している。




 これらの作品には、『月光仮面』等の作品と差別化を図るため、前述した要素が組み込まれているものの根底には勧善懲悪の要素があったのが、現在においても日本人に愛されてる要因と言えよう。

 補足として、『月光仮面』も前述した2シリーズと比べると、作品数としては劣るものの特撮版から約23年後の1981年3月14日には劇場映画『月光仮面 THE MOON MASK RIDER』が公開(ヒロイン役として志穂美悦子氏が出演してる)。

 更に河崎実監督の最新映画『ロバマン』(主演:吉田照美氏)においても月光仮面が友情出演を果たしており、我々日本人には今後も語り継がれていく特撮ヒーローと言っても過言ではないだろう。

 さて、もう一点、特撮と日本文化の共通点として挙げたいのは、文久2年3月(1862年3月)に初演が公開された古典歌舞伎作『白波五人男』などに代表される〝様式美〟だ。

 これは、一言で説明するならば物語の流れにおける〝お約束ごと〟である。 (後編に続く)

(平山賢司 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

画像『月光仮面 第1部 どくろ仮面篇(3巻組) [DVD]

 

関連記事

最近の投稿

ページ上部へ戻る