【オリンピック放送事故】史上最もツイてないおバカな二人

2020年東京。現在3月中旬ということで、予定されているオリンピックまで実にあと4か月余り。実際、この状態で本当に開催できるのかどうか、出場選手ならずとも日本国民のほとんどは毎日更新されるテレビや新聞からの最新情報をヤキモキしながら見守っている。

仮に、もし開催延期、あるいは中止になったとしたら…ちょっと考えただけでも各方面に与える影響があまりに大きいことは容易に想像できる。とはいえ、これだけコロナウィルスが世界中で蔓延する現状、感染に対する終息宣言が世界規模で出されるはいつのことになるやら…。どうか、一刻も早くウィルスの封じ込めが成功することを願ってやまない。

さて、以前にATLASでは「史上最悪の放送事故」として1973年にTBSテレビで発生した「スタッフ遅刻事件」をご紹介した。今回は過去のオリンピックに於いて、これまた遅刻にかかわる、ちょっと同情してしまうような悲劇の放送事故をひとつご紹介したい。

それは1972年の夏に開催されたミュンヘンオリンピックのことである。

リオオリンピック、セクシー事件




前代未聞の遅刻事件は男子陸上100mの際に起こった。なんと、出場するはずのアメリカ選手、エディ・ハートとレイ・ロビンソンの両名がレースの開始時刻近くになってもスタジアムに現れないのである。

ハートとロビンソンの二人は、当時の男子100m走に於いて「9.9秒」の大記録を打ち立てた「9秒コンビ」として人気選手だったために、現場は「おい!どうなってんだ!」とヤジが飛ぶなど、大混乱の状況だったという。

結局、ハートとロビンソンは開始時刻が過ぎてもついに現れなかったためにレース失格となった。

すると、レースの終了後に二人は青い顔をしながらようやく会場へ到着。その場で「オーマイガッ!」と叫ぶと、肩を落とし放心状態だったという。

ではいったいなぜ、彼らは大事なレースに遅刻してしまったのか……。

この原因は彼らのコーチの持っていたスケジュール表にあった。というのも、コーチが手にしていたレーススケジュール表はこの日から1年以上も前に作成されたもので、情報が更新されないまま選手とコーチに手渡されてしまったらしいのだ。

レース当日、ハートとロビンソンを含むアメリカ人選手とコーチ氏は現地のABCテレビ(アメリカでの放送局)の中継局に招かれ、テレビ画面を見ながら談笑していたという。

さて、テレビでは彼らが出場するはずの男子100mのレース中継がすでに始まっていたが、現地のアナウンスによるドイツ語が理解できない彼らはその映像を自分たちが勝ち抜けてきた1次予選の録画ビデオだとばかり思って見ていたという。しかし、いつまで経ってもレースの模様が一向に進まず、そこで何か様子がおかしいことにようやく気付いたという。

伝説のオリンピックおじさん




「なに~!これビデオなんかじゃないぞ!オレ(が走るはず)のコースが空いてるよ!」と、ようやく最悪の事態が発生していることを確信したのだ。

二人はテレビ局の車へと急いで飛び乗ると、競技場へと急いだ。しかし、当時世界最高スピードを出せる車に乗ろうが、それとも世界最速の短距離選手である彼ら自身がそこまで猛ダッシュで走っていこうが、数分後に開始されるレースに間に合うことなど到底無理な話である。……結局、彼らはオリンピックルールにより失格となってしまったのだ。

この遅刻劇はコーチ側の最終的な確認を怠ったミスではあったが、後日、オリンピック協会側もスケジュール確認を怠っていたことも判明し、誰の責任も問わない形で収束したようである。

この出来事は全世界の新聞に報じられ、日本でも「世紀の大遅刻」と大々的に報道された。

なおこのことから、仮に有力選手といえども時間に遅れたりすれば競技に出場できないオリンピックの厳格なルールを世界中の多くの人が初めて知ったという、異例の大会でもあったようだ。

(文:穂積昭雪 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

画像©Michael Gaida PIXABAY

 

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