
古代の人々が洞窟の壁に残した壁画。現代の人々が見ても、どの動物を描いたものか判るほどはっきりと動物の形が描かれたものや、記号的な素朴でプリミティブなものまで様々なものが伝わっている。
こういった洞窟壁画が描かれた理由には様々な説が出ているが、一説には狩猟の成功を祈って描かれたのではないかと考えられている。
だが、そんな壁画の中には奇妙なものも一緒に描かれている事があるという。
例えばインドネシアのスラウェシ島の洞窟に存在する4万4千年前の洞窟壁画には、人間と動物のハイブリッドのような獣人(セリアンスロープ、therianthrope)とも言うべきものも一緒に描かれている。
この壁画はオーストラリアのグリフィス大学の古生物学者が発見したものである。人類学者らによる調査の結果、「現代の宗教を支える基本概念である、人間の『自然界には存在しないものを想像する力』が発揮され、投影された最も初期の証拠」ではないかという説がある。
同様の描写はドイツの4万前に描かれたとされる壁画の中に描かれた「ライオン男」であり、なぜ動物ではなく架空の存在、獣人が描かれたのかについては様々な説が存在している。
動物の皮をかぶって儀式を行うシャーマンの姿や、獣や自然の精霊の姿を描いたものといわれているが結論は出ていない。
いずれにせよ、インドネシアの洞窟壁画は我々人類がかなり古くから神や精霊といった想像上の存在を信じていたという証拠になりうるのではないか、と研究者らは考えている。
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Earliest hunting scene in prehistoric art
(田中尚 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
画像&動画©Griffith University YouTube