事務所の階段を上ってきたもの 

投稿 元葬儀屋さん

私は元葬儀屋でした。葬儀屋にとって幽霊とは生前同様に人そのものです、お亡くなりになった、ご逝去された方はご宗家様(ご家族様)にとってはかけがえのないご家族様です。

お亡くなりになった方がご自宅へお帰りになる、別の場所へご移動頂くというように生前同様に家族の一員なのです。たとえお亡くなりになられた方が霊となって姿を現したとしてもご家族様にとってはかけがえのない家族なのです。

葬儀屋の立場としては、もし仮にお亡くなりになられた方が霊となってあらゆる場所に姿を現されたとしても心構えとしてお亡くなりになられたの霊はご宗家様のご家族様です。どんな時でも合掌し安らかにお眠りくださいと心に念ずる事が葬儀屋として人としての任務だと考えておりました。

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しかし、どんな仕事でも身体は仕事に前向きに反応するのですが、心が一瞬躊躇する時が御座います。

それは警察署の検案を受けて、警察署の遺体安置所に安置されているご遺体をお迎えに行くときなどです。警察署の検案の案件はもちろん事件性があるという事で、それが殺人であったり、焼死であったり、溺死であったり、事故死であったりするのであり、ご遺体の状態も様々で御座います。あとはこちらをお読みいただいている方のご想像どおりです。

警察署で検案が終わると遺体安置場に安置されるのですが、今回の案件はどんな案件なのかはおおよそご依頼時に情報として連絡があり遺体の原型が無い場合等もあるので、お亡くなりになられた方のご遺体を目視するまではなにやら変な恐怖心が芽生えるのです。

元葬儀屋の私などはお亡くなりになられた方の霊気に負けて怖くて逃げ出さないように、しっかりと気を引き締めてかつ亡くなられた方に失礼のないように現場での職務を遂行していくのであります。ご遺体と二人で車で移動したり葬儀会館の安置場でご遺体と二人きりだったりすることも多い中で、その日の夜も警察署からお亡くなりになられた方に葬儀会館までご移動して頂き、安置室でお休み頂き、会館の二階の事務所で納棺業者が来るのを待っておりました。

すると、誰かが階段を上ってくるドンドンドンという音が二階の事務所の中まで響いて聞こえてきたのです。




階段の響く音を同僚と二人で聞き、顔を見合わせ納棺業者が来たなと思いすぐに来客用モニターを見たのです。モニターには普段は階段の上から下迄の範囲が映し出されたいるのですが、このときはモニターには誰の姿も写っていないのです。

事務所の二階へ続く階段は工事現場のプレハブで使うような鉄の簡素な階段なので、二階へ上がる時にはドンドンドンと音が必ず響き渡るのです。

確かに誰かが階段を上ってきたのを二人で体感しているが、これはどういう事なのかと同僚と二人で話し合いました。その後に納棺業者の車のライトが駐車場に入ってきたのが二階の事務所の窓から見えて、その状況に私と同僚はまたゾッとしました。

階段をこんな時間に上がってくるのは業者しかいないはず、先ほどのそれが業者ではないのだと言う事を確信したからです。

そして、先ほど階段を上ってきたのは業者ではないとしたらいったい誰だったのだろうと考えたのですが、何故か頭に浮かんだのが、警察署の安置場からお連れしたお亡くなりになられた方がお礼を言いに来たのかもしれないと思えてしまい何故か暖かい気持ちになったのです。

その後、私はお亡くなりになられた方にまたご焼香をするために安置室まで足を運びました。

(山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

画像©slightly_different PIXABAY


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