
これは筆者が某業界の先輩Lさんに聞いた話である。
そのLさんは、某大手企業に入社した。当時、その企業は東京の郊外に独身寮を持っていて、Lさんも入寮していた。のんびりした田舎で、Lさんは、休日となるとその独身寮でゆったりとした時間を満喫していたという。
ある朝の事、ふと枕元を見ると、
…老婆が座っている。
「…ええっ」
白い髪の老婆が、膝をそろえ座っているのだ。
目が虚ろで、表情がなかった。
「…うわっ」
幽霊だと思い、飛び起きたLさんだった。
だが、老婆は依然としてそこにいる。
(どうやら、人間のようだ)
気を取り直したLさんは、老人を室外に連れ出すと、今後入ってくるなと強く言い聞かせた。老人はゆっくりうなづくと静かにどこかに移動していったという。
だが、Lさんは奇妙な事に気がついた。
(あれっ?部屋の鍵は閉めてあったし、こんな早朝に老婆が徘徊するなんておかしい)
その後、何度かLさんの自室では、同じ老婆が保護されたという。
(山口敏太郎事務所 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
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