
これもネットで広がった現代の妖怪である。山口敏太郎的解釈も交えて、説明してみよう。
ある町の池で一家七人が入水自殺をした。心中した時間は、明け方の3時から4時と推測され、子供が泣き叫ぶ声が聞こえたという。
それ以来、その池には「七人ぼとけ」による怪異が起こるようになった。投稿者は子供時代に池のほとりで女の子のすすり泣く声を聞いた。すると、池のほとりに女の子が泣きながら立っている。しかも、池の中から伸びた紐が女の子の体に結えられていた。
投稿者が目撃したところによると、女の子が池の中から紐を引っ張られ、まるで滑るように移動し池の中に消えていった。不思議なことに女の子の姿が水中に消えた途端、金縛りが解けてしまった。
この「七人ぼとけ」は、明らかに御霊系の妖怪であり、高知県の「七人ミサキ」、八丈島の「七人坊主」、香川県の「七人同行」と同類だと思える。「七人ミサキ」は、四つ辻に丑三つ時に現れるから、4 +3(四辻+丑三つ)で7人と言う数字が生まれたのであろうか。だとするとこの「七人ぼとけ」は、朝の3時から4時にかけて自殺をしており、ギリギリ丑三つ時にかかっていると言えなくもない。とにかくこの(集団亡霊)というものは、なぜか7人集まるととんでもない御霊となってしまうようだ。
また、同じ種類の妖怪が複数同時に出てくる場合、その数は奇数であることが多い。「口裂け女」は「口裂け女3姉妹」である。神の使いとされた「七本鮫」も7匹である。「かまいたち」は3匹が連携プレイで人間に襲いかかり、「七人ミサキ」もゆき会った人間に七人で祟る。とかく妖怪は奇数を好むものだ。
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他にも現在アトラスで収集している現代妖怪は次のようなものがある。「尻切れ馬」「足の生えた焚き火」「山坊主」「にょうらいさん」「チブスマ」「「八尺さま」「めかぁ猫」「むしゃくるさま」「口裂け女」「ミカサ」「テンポポ様」「挑戦ババア」「ゴム人間」「コイヌマ様」「笑い女」「包丁さま」「顔野菜」「蓑坊主」「白ん坊」「ヒサル」「朽縄さま」「ムシリ」「とわとわさん」「隙間さん」「人面犬」「のどかみさま」「アカマネ」「ぐにゃぐにゃおばさん」「トイレの花子」「大根さん」「口裂けヨン様」「えんべさん」「ヒギョウさま」「ミヤウチさま」「おっぺけ様」「ヒザマ」「福鼠」「やまけらし様」「ヤマノケ」「嫌われ虫」「こだまさん」「つくし鬼」「サンコーさん」「さにゃつき」「クロスマさん」「ワニ喰いワシ」「つちおばけ」「ヒデキ」「アガザル」「三四郎」「カバケ」「アトイさん」「釣れないんだね河童」「つむじさん「トランペット小僧」「ゴスロリ天狗」「そうめんばばぁ」「トンカラトン」「青舌」などである。
(山口敏太郎 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
画像©Bruno Glätsch PIXABAY