赤坂「のっぺらぼう」は「ムジナ」ではなく「カワウソ」の化けたもの?





狐や狸の悪戯に関しては、様々な情報が伝承されている。他にも化けるとされた動物は多く「てん」「猫」「ムジナ」なども妖怪変化となり人間をたぶらかす。

「狸」と「ムジナ」の違いに関しては別稿に譲るが、小泉八雲の小説に見るように「ムジナ」が仕掛ける怪異は「のっぺらぼう」に化けるという行為が代表的な怪異である。

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田中貢太郎が書いた「築地の川獺」には次のような一文がある。

「小泉八雲の書いた怪談の中には、赤坂に出る目も鼻もないのっぺらぼうの川獺かわうそのことがあるが、築地の周囲まわりの運河の水にも数多たくさんの川獺がいて、そこにも川獺の怪異が伝わっていた」

筆者はこの文章を読み返して、あることに気がついた。赤坂に出た「のっぺらぼう」の正体を「ムジナ」ではなく「カワウソ」の仕業としているのだ。戦前の感覚では、「カワウソがのっぺらぼうに化ける」という怪異が一般的に認知されていたのであろうか。しかも、この文章にはカワウソが人間は化かす日の見分け方も書かれている。




「逢引橋の橋むこうの袂にあった共同便所の明りに注意するのであった。そこには一つの小さな石油ランプが燭ともっていたが、その燈ひがすなおに光っているときには、「今晩、だいじょうぶよ」と云った。もし、その燈がちらちらして暗くなったり明るくなったりしていると、「今晩は、だめよ、すこし、へんよ」

他にも岡本綺堂の一文にあったと記憶しているが、「カワウソ」は雨の日に人間がさす傘の上にしがみつき、重くさせる悪戯もしたようだ。

(山口敏太郎 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

画像©greffeb PIXABAY


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