倉本聰告白、桃井かおりと萩原健一の漢字力伝説「故郷に錦を飾る」

のちに倉本聰脚本の名作ドラマ「前略おふくろ様」で名コンビぶりを見せることになる桃井かおりと萩原健一に関する面白いエピソードがある。
桃井と萩原がコンビを組んだ映画「青春の蹉跌」という作品の撮影現場において、イギリス留学が長く漢字に弱い桃井が、萩原に漢字の読み方を質問したという。
「この漢字なんて読むの?」
脚本には『故郷に錦を飾る』と書かれていた。しばらく悩んだ挙句、萩原は「ワタじゃねーか」と回答した。2人のとんちんかんな会話を見兼ねた助監督が「それは錦(にしき)と読むんですよ」とアドバイスしたところ、桃井は萩原を軽く詰った。
「ちょっと違うじゃないの」
すると萩原はすっとぼけた顔で「あー、わたにしきとも読むしね」と答えたと言う。
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この話は、倉本が折に触れて披露するエピソードだが、異説があって、ドラマ「前略おふくろ様」の二本撮りの現場であったという説もある。その説によると、萩原は二本目にゲスト出演する女優さんのことが気になってしかたなく、桃井の質問に適当に答えてしまったともいわれている。
昭和のドラマの撮影現場は、このような微笑ましいエピソードがたくさんあった。良き時代であった。
(和田大輔 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
画像『Last Dance』