海上に出現する子供を抱いた女の妖怪「ねんねろよ」





 むかし、東京湾上には奇妙な女の妖怪が出たという。その名も「ねんねろよ」といい、江戸から明治にかけて目撃され、多くの漁師達に恐れられていたそうだ。

 子供を抱いた女性の姿をしており、海上を滑るように移動して漁師の小舟に乗り込んでくる。そして、子供を差し出すと「この子を抱いてくれ」 と気味の悪い声でせがむのだという。

 類似の妖怪に、子供を抱かせて人を襲う姑獲鳥(産女)がいる。出産で命を落とした女性の念が妖怪になったもので、鳥山石燕をはじめとした多くの文献で産女は『姑獲鳥』とも書かれているが、これは中国に伝わる妖怪の『姑獲鳥(コカクチョウと読む)』の影響があるためと見られている。




 中国の『姑獲鳥』も産婦が死んだ後に、子をさらってしまう半人半鳥の妖怪と変じた妖怪とされている。それを踏まえて考えると、「ねんねろよ」は正しく海上の姑獲鳥ともいうべき存在であるといえるかもしれない。

 この妖怪は海神の怒りに触れて船から海に放り込まれて死んだ女の霊がこれになったものとも、入水した女の霊とも言われているが、定かではない。
 
(山口敏太郎/田中尚 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

画像©ウィキペディア佐脇嵩之『百怪図巻』より「うぶめ」





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