
まずはこちらの動画を見てほしい。緑色のやや濁った海の中に、魚が群れをなして泳いでいる。
だが、その魚たちの中にひときわ巨大で奇妙な頭部をした生物が姿を現すのだ。それは全体的に白っぽく、ヒレ他は確認できない蛇のような体をしているようだ。長さは約30フィートはあったと撮影したダイバーは語る。
こちらはニュージーランド北島のブレット岬の近くでダイビングをしていた人物が撮影したものである。撮影者らはカジキを観察する目的でダイビングしていたところ、動画に映った巨大な生物と遭遇したのだという。
関連動画
Sea creature mystery: Diver encounters 30-foot pyrosome
「それは大きなチューブ状で、長さ10メートル、幅約半メートルはあり、海流によって流されているようだった」と彼は語る。彼はダイバーショップを経営しておりダイビングの経験は豊富だったが、このような生物を目の当たりにするのは初めてだったので驚いたという。しかし事前知識はあったとのことで、以下のようにも語っている。
「この生物はプランクトンの集合体のようなものです。一つ一つは小さい紐のようなもので長さは20cm程度しかありません。それでも初めてこの生物を見た時は非常に巨大な個体なのではないかと思いました。ダイビングに参加していた一人は実際にこの生物に触れて、『まったく柔らかくない』と言っていました。まるで段ボールのような質感だったそうです」
果たしてこの生物は何だったのか。こちらはヒカリボヤの一種であり、小さな個体が何十億匹も集まって形成された浮遊コロニーであるとようだ。周囲に魚があつまっているのは、ヒカリボヤが海水を吸い込み、濾過して吐き出す際にプランクトンの欠片を吐き出すため、おこぼれを狙って魚が寄って来るのだろうと考えられている。
またヒカリボヤの群体は通常2,000メートルの深海に生息しているので、今回観測されたような浅瀬で見られるのは非常に稀であるという。撮影者は、そのヒカリボヤの群体が弱っていたのかもしれないとも語っている。
「魚たちは群体も食べているように見えました。ヒカリボヤが深海にとどまるのは天敵が少ないからなのですが、弱ってしまったので浅い海に浮上したのかもしれません」
研究者から見ても今回の事例は非常に珍しいことだそう。貴重な生物が動画に撮影されたのは僥倖だったといえるかもしれない。
(田中尚 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
画像&動画©Pen News / YouTube