山口敏太郎が薦めるUMA関連書籍【第一回】『逃げろツチノコ』





日本の未確認生物の関連書籍の中でも古典に入る屈指の傑作。未確認生物ファンならば、ぜひとも読んでおきたい一冊だ。一時期入手が困難であったが、2016年に山と渓谷社から復刊され、日本中の未確認生物ファンたちが狂喜乱舞した。

内容は山本素石氏が仲間たちと共に、ツチノコを探し回る探検記だが、全体的にユーモアとツチノコへの愛情が溢れている。普通の動物ハンターとは違って、ツチノコに肩すかしをくらわされるのが、いかにも楽し気である。

これは未確認生物研究をしている者全てに共通していえることだが、未確認生物を捕獲して確認したいのだが、心の何処かで『逃げろ、逃げて逃げて逃げまくれ、愚かな人間なんかに捕まるなよ』という願望も持っている。




ツチノコは捕まえたいが、捕まってほしくない。場合によっては万が一捕獲したとしても、そっと逃がしてしまうかもしれない。それがファン心理だ。

未確認生物は”未確認”であるからゆえに魅力的であって、捕獲され確認され生物図鑑に載ってしまうとその瞬間に普通の生物になる。そうなるとつまらない。

未確認生物ファンは、”未確認”の冠がとれた瞬間、その愛情を喪失するのだ。この歪んだ未確認生物への愛こそ、未確認生物研究という風変わりな趣味の醍醐味である。




以前より、私は未確認生物ファンに圧倒的に男性が多いことを指して、子供時代の夏休みの延長戦、怪獣で育った大人たちの怪獣ごっこと評してきた。確かにその一面もあるのだが。最近では違う見方をしている。

それは未確認生物願望である。携帯電話を誰もが普通に所持するようになり、メールやLINE、メッセンジャーなどで、必要以上に個人が”確認”される時代になった。SNSで検索すると昔の恋人や親友、ライバルたちが今朝何を食べたのかさえもわかるぐらいだ。

仕事もプライベートも”確認””確認”の現代社会、まさに一億総監視時代と言っても過言ない。そんな現代だからこそ、仕事もプライベートも投げうって、自ら”未確認”になりたいという願望がある。ゆえに人は未確認生物に惹かれるのではないだろうか。

つまり、『逃げろ、ツチノコ』とは我々が己に向かって叫んでいる人間解放の言葉のようにも受け取れる。

(山口敏太郎 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

画像『逃げろツチノコ

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