本当は怪物ではなく、その製作者の名前だった「フランケンシュタイン」
- 2018/12/5
- モンスター, 妖怪・幽霊
- フランケンシュタイン, メアリー・シェリー

現在放送中の「ゲゲゲの鬼太郎」第6期では新章が始まり、鬼太郎達日本の妖怪と西洋からやってきた妖怪軍団との戦いが描かれている。
そんな西洋妖怪の幹部の一人に、ヴィクター・フランケンシュタインというキャラクターが登場している。残虐なマッドサイエンティストであり、ボロボロの白衣につぎはぎの見える肌をした子供のような姿をしているが、泣き出すと巨大な体へと返信する。一般にイメージされるフランケンシュタインの怪物に近い姿となるのだ。
さて、「フランケンシュタイン」と言えばこの怪物の方を想像しがちだが、実はフランケンシュタインは怪物を制作した人物の名前なのである。
イギリスの小説家メアリー・シェリーによる作品『フランケンシュタイン、あるいは現代のプロメテウス』に登場する優秀な学生ヴィクター・フランケンシュタインは、やがて生命の謎を突き止めるべく遺体をつぎはぎにして人造人間を作り上げることに成功した。
その人造人間は優れた体力と心、深い知性を持ちあわせており、数ヶ月で複数の言語を覚えるほど優秀だったが、怪物のように非常に醜い容貌をしていた。自分の制作物に絶望したフランケンシュタインは人造人間をおいて故郷に帰るが、人造人間はフランケンシュタインを追いかけてきて「自分の伴侶となる異性」を生み出してくれるよう願った。
怪物が増える事を恐れたフランケンシュタインが願いを退けると人造人間はフランケンシュタインの家族を殺害し逃走、フランケンシュタインは復讐のために人造人間を追いかけて…というストーリーだ。恐ろしい怪物に思われる描写はあるものの、悲哀に満ちた存在という側面も持ち合わせている。
現在のような巨大で荒々しいモンスターというイメージが定着したのは、メアリー・シェリーの小説を原作に1931年にアメリカのユニバーサル映画が制作したホラー映画「フランケンシュタイン」の影響が非常に大きいとされている。この作品でボリス・カーロフが演じた怪物は巨大な体に継ぎ目のある肌、四角い頭に首などからボルトが出ているという容貌になった。ここから凶悪な怪物「フランケンシュタイン」のイメージが一般化していったとみられている。
ゲゲゲの鬼太郎でも伴侶を求める所や怪物じみた姿、優れた技術力を持っている所など要所要所でフランケンシュタイン本人とその怪物の設定を合わせた特徴が確認できる。
(田中尚 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)