【昭和の珍事件】ゴミの中から300万円のダイヤモンドが…





1935年(昭和10年)3月31日の読売新聞に、東京のド真ん中で珍妙な事件が発生したことが掲載されている。

『お百姓にダイヤ 知らぬが悲しさ』

この事件は、2月25日、江東区深川にある埋立地にて、ある農家が1杯5円(現在の約1万円)で農作物に使う肥料ゴミを購入した。農家が肥料ゴミを天日で干していると、ゴミの中からキラリと光る指輪を2つ発見した。

「おやっ、これはなんだ?」

翌日、農家が埋立地の管理人の元へ行き、ゴミから出てきた指輪を見せると「ああ。おもちゃだね」と一蹴されたために、一度は破棄しようとしたが「子供は喜ぶかも」と思い直し、結局家へ持ち帰ることにした。




そして数日経ったある日、農家の家へ屑屋の友人が訪ねてきたので、興味本位でその指輪を見せたところ「これは価値のある宝石かもしれない」とのことで農家は元の5円に3円足した8円(1万6000円)で屑屋に指輪を売ることにした。

そして今度はこの屑屋が宝石商に指輪を持ち込んだところ、なんと、指輪はひとつあたり180円(36万円)はくだらない超高級品であることがわかったのだ。

驚いたのは180円で指輪を買った屑屋で、指環を拾った農家にその事実を伝えたところ、どうも事情が飲み込めなかったようで「ああ。あんたの儲けでいいよ」と指輪を譲ってしまったという。

高価なものとわかった以上、落し物という事情もあり、警察へ届け出ることにした。すると、今度はこの指輪がひとつ650円(130万円)のプラチナ台のダイヤであることがわかったのだ。1万円で買ったゴミから出た指輪が最終的にふたつで300万円近い値打ちになるとは、まさに現代の「わらしべ長者」のような話である。




なお、この場合、指輪の所有者は農家から屑屋に移ってしまったために、仮に持ち主が見つからなくても農家に所有権は戻らないということだった。

最終的にこの指輪の元々の持ち主は最後まで見つからなかったという。当時は関東大震災(1923年)によって、人や家も深川の川底深くに葬られている。つまり、指輪も当時、深川近辺に住んでいた富豪の所有物だったのではないかと推測されている。

戦前の東京下町に突然起こった、ちょっと稀有な出来事……だった。

(文・穂積昭雪 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)




 

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