これは昭和時代に活躍していた某俳優にまつわる都市伝説的な逸話である。
戦前の映画界で大活躍していたスター俳優Aは昭和20年までに100本以上の映画に出演。Aは切れ味のある殺陣と切れ目の二枚目俳優として当時の多くのチャンバラ映画に出演していた。
ところが、Aは人気絶頂であった戦後すぐ、映画俳優を引退してしまう。理由は様々言われているが戦後に患った目の病気が引退の原因ではないかといわれている。
実際、Aは俳優だった当時、目の不調を訴えており、当時の映像を確認してみると右目の焦点が合っていないように見える。おそらくAは戦後まもなくに失明しており、ほとんど目が見えない状態でチャンバラをおこなっていたと思われる。
Aが失明じた原因は第二次大戦後に流行った酒の代用品「メチルアルコール」の摂取過多(飲むと体内で蟻酸が発生し、最悪死に至る)という説があるが、当時の俳優仲間の談ではAはメチルアルコール以外にもモルヒネやアヘンなどの薬物を日常的に摂取していたらしく、実はアルコール以外のドラッグによって失明してしまったのではないかと噂されていた。
このエピソードはいくら強靭な体を持つチャンバラ俳優でも薬物およびメチルアルコールの過剰摂取は人体に影響するということを実証した話である。それ以降、同僚の俳優たちはキモに命じて行動するようになったという。
(空桶歌右衛門 ミステリーニュースステーション・ATLAS編集部)
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