ゼットンは、ウルトラシリーズに登場する怪獣。第39話「さらばウルトラマン」にて初めて登場し、ウルトラマンを完膚なきまでに敗北、すなわち死に追いやった歴代随一の強さを誇る怪獣として知られており、現在もなお最強の怪獣として人気を得ている存在だ。
ゼットンは、カミキリムシをモチーフとした姿であり、そのネーミングも”ウルトラマンが最後に戦う相手”ということからアルファベットと50音の最後にある「ゼット」と「ん」を合わせたものとなっている。
ウルトラマンを倒した初めての怪獣として有名なゼットンだが、それ以外で非常に有名なのは「1兆度の火球」という能力だ。
1秒間燃えただけでも402後年離れた星々すら滅亡させることができてしまうとわれる、この現実離れした超高温度は、「よくわからないが考えられないほどに熱い温度」ということで強烈なインパクトを与えたことは確かである。
ところが、作中でゼットンがこの火球を放ったかについては実のところ明言されていない。
そもそも、この「一兆度の火球」という能力設定は、自動誌の特集あるいは怪獣図鑑などで”こういうことができる”というていで記載されたものがきっかけとなって広まったものであり、劇中で「一兆度」という説明はなされていないし、本来は公式設定ですらなかった。
ゼットンには、具体的な技の名前が明示されているものもある一方で、ゼットンが科特隊基地を爆撃した白いビーム、ウルトラマンの足元に放った赤いビーム、これらはいずれも作中で技名が明らかになっておらず、これらが「一兆度の火球」であるかどうかはハッキリとしていない。仮にそれらが一兆度であったとすれば、あまりにも被害が少なすぎるように思える。
なお、1971年1月出版の「小学4年生」に掲載された特集では、「ゼットン 火球の温度は10万度」と紹介されており、一兆度と比べればはるかに大人しい威力となっている。このことから、「一兆度」というのは誤表記ではないかとする説もある。
ただ、別の児童誌の特集ではウルトラマンのカラータイマーを破壊したゼットンの技が「一兆度の火の球」だと記載したものもあり、いずれも”勝手に”創られた独自設定であったことには違いない。
現在では、この一兆度はほぼ公式として認められているようである。
【参考記事・文献】
・https://zatsugaku-company.com/ultraman-zetton-measures/
・https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/c52eec569bac8ebd6262f6b19e72f507769da4a3
・https://dic.pixiv.net/a/%E3%82%BC%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%B3
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【文 イトフゆ】