『プロハンター』は、1981年に全25話放送されたテレビドラマである。
草刈正雄が演じる元新聞記者・竜崎駿介と、藤竜也が演じる元刑事・水原淳の私立探偵コンビが、横浜を舞台に警察でも手が出せない難事件に挑むアクションドラマで、かつて同じ枠で放送されていた私立探偵ドラマ『探偵物語』と共通するスタッフも多く関わっている。
「火曜サスペンス劇場」は、本作の放送時間帯でもあった21時台枠と、火曜劇場が放送されていた22時台枠が統合してスタートしたが、その21時台の最後となったのがこのプロハンターである。
藤の演じる水原という役名に聞き覚えがある人も多いかもしれないが、実は1978年に放送されたドラマ『大追跡』で藤が演じた役名も水原(慎介)だ。それもそのはずで、本作は「大追跡」をベースとして制作されたドラマであり、”水原”は演者と共にその設定が引き継がれたものだったわけだ。
こうした事情もあって、当初藤の相方である竜崎役には「大追跡」で共演していた沖雅也か柴田恭兵が候補に挙げられていた。しかし、両者ともスケジュールの都合で引き受けることなできなかったため、結果として草刈が抜擢されることとなった。
本作では、草刈が出身の小倉の方言をセリフとして話していたことも特徴となっており、標準語でも大阪弁でもない訛りによる役どころは、当時としても新鮮なものだったようである。
ところで、1986年から放送されたテレビドラマ『あぶない刑事』で主演の刑事の一人・大下勇次を演じた柴田恭兵が、第1話で「刑事になる前はかなりワルだった」と言いながら鍵をピンで開けるシーンがある。これ、実は「プロハンター」にて柴田が演じた、ピッキング技術に長けた元怪盗「カベチョロ」こと五島達をオマージュしたものである。
また、「プロハンター」の第1話「危険な二人」で、公開予定のオートバイを題材とした映画『傷だらけの英雄』のフィルムが映画会社から盗まれるという導入からストーリーが始まっているが、この作中の映画のタイトルは1966~67年に連載されていた大藪春彦の小説『汚れた英雄』がモチーフとなっているものであり、しかも「プロハンター」の翌年1982年に草刈が主演をつとめる「汚れた英雄」の映画が公開された。
【参考記事・文献】
・https://x.gd/qknR3
・https://asuneta.com/archives/55129
・https://blog.goo.ne.jp/kelu-cafe/e/50a8937d86bbe3c3194b73bb6afccbb4
・https://dic.pixiv.net/a/%E6%B1%9A%E3%82%8C%E3%81%9F%E8%8B%B1%E9%9B%84
【アトラスニュース関連記事】
「藤竜也」伝説 出たくて事務所を辞めた?!問題作『愛のコリーダ』出演の顛末
『あぶない刑事』が人気作になったのは「柴田恭兵」アドリブ演技のおかげだった
【文 ナオキ・コムロ】