アンディ・フグは、スイス出身の格闘家。90年代のK-1ブームの立役者の一人として知られ、極真空手時代から得意としていた踵落とし、下段回し蹴りといった技で人々を魅了した。
企業CMにも多く出演し、日清食品のカップラーメン「強麺」(ごうめん)のCMで「ゴーメンナサイヨー」を連呼する姿は強いインパクトを残した。そうしたことから一般的な知名度も高く、「青い目の侍」と呼ばれ広く親しまれた。
「鉄人」「ミスターK-1」といった異名を持ち、母国スイスでK-1が行なわれる際は必ず凱旋試合を決行、全戦全勝で、国営テレビの視聴率も50%を超えるほどに絶大な人気を得ていた。しかし、2000年8月に急性前骨髄球性白血病により危篤という発表が突然されて、同日に35歳という若さで死去。
彼はスイスのウォーレンという町に生まれた。労働者階級の町であり、父は生まれた頃から家におらず、母も入退院を繰り返していることから一緒に生活することが難しかったため、兄姉と共に祖母のもとで育てられた。
素行が悪く、不良グループのリーダーでもあったことから、30人もの悪い仲間たちとつるんでは喧嘩を繰り返し、盗みを働き、店を襲うなどしていたという。
そんなアンディが10代のある時、当時のブルース・リーの影響もあって町に空手の道場が建った。知人に連れられた彼は、その光景を見て一気に引き込まれ、「これこそが自分がやりたかったことだ!」と感銘を受けたという。
実は、それ以前のアンディは、16歳以下の少年で構成されるU-16スイス代表選手に選ばれるほどの実力を持つサッカー少年でもあった。15歳で空手のスイス代表に選出されたことでサッカーと空手を天秤にかけることとなり、彼はついに空手を選ぶこととなった。
当時、道場に通うにも金がかかるとして祖母からは反対されていたものの、自分で稼げば問題ないとして道場通いを強行していたという。だが、時には違法賭博でイカサマをしながら金を稼いでいたこともあったと言われている。
とはいえ、彼は空手に出会わなければ”本物のギャング”になっていたかもしれないとも語っており、空手が彼の人生を大きく左右したことは確かだっただろう。
【参考記事・文献】
・http://nitioku.blog49.fc2.com/blog-entry-97.html
・https://news.mynavi.jp/article/20201214-1576362/
・https://note.com/chishiki_hiroba/n/nb3b2e9a739e7
【アトラスニュース関連記事】
柔道史から抹消された史上最強の柔道家「木村政彦」伝説
【文 黒蠍けいすけ】