伝七捕物帳(でんしちとりものちょう)は、「捕物作家クラブ」に参加していた作家らによって企画・創作された時代小説。1951年から60年まで京都新聞にて連載されており、のちに数度の劇場映画化やテレビドラマ化もされている。
主な参加作家は、『遠山の金さん』の作者である陣出達朗、『銭形平次捕物控』で知られる野村胡堂、金田一耕助シリーズでお馴染みの横溝正史、その金田一耕助のモデルの一人と言われる推理作家の城昌幸など多数。内容は、上野の黒門町を舞台に、岡っ引きの伝七が江戸の悪に立ち向かうものとなっている。
1954~63年にかけて、松竹および東映による『伝七捕物帖』シリーズが映画製作されており、主演は”歌う映画スター第1号”とも称された高田浩吉が務めた。その後に最初のテレビドラマ版となる1968年の朝日放送版でも、高田が主演となっている。
1973年からは、日本テレビ版として放送が開始され、主演はそれ以前に『遠山の金さん捕物帳』にて金さん役を務め人気を博した中村梅之助が抜擢された。77年まで全160話が放送される人気作品となり、ドラマ「伝七捕物帳」というと彼が主演となったこの日テレ版であることがほとんどである。
梅之助版は、事件が解決してエンディングに入るその直前、メインキャストらが「よよよい、よよよい、よよよいよい、あ、めでてぇな」と言って締める描写がお約束となっており、しかも手締めではなく、親指と人差し指を使ったいわば「指締め」であったことが最大の特徴となっている。

この指締めのスタイルは、梅之助の息子である俳優の中村梅雀(なかむらばいじゃく)が主演となった2016~17年放送のBS版でも踏襲された。
ところで、この主人公の伝七であるが、その素性は実は元罪人である。
何を犯したのかという詳細はわかっていないが、彼の器量と気風の良さに遠山景元が惚れ込み、罪を許す代わりに奉行直属の岡っ引きになることを任じたというような設定がされている。
因みに、伝七が遠山から与えられた十手に紫色の房がついてあるのは、「与力」としての証の意味があり、本来同心が私的に雇う岡っ引きという立場においては、基本的に武器である十手に房は付けられてない。
ところで、この梅之助版では梅之助が伝七と遠山を一人二役で演じており、それも奉行所や遠山邸で両者が打ち合わせをするという形となっている。これについては、梅之助が遠山の金さんを演じていたことに起因する制作側のサービスカットの意図もあったと考えられており、実際、朝日放送版では奉行直属の岡っ引きといったことには触れられているものの、遠山は登場していない。
【参考記事・文献】
・https://www.sankei.com/article/20160621-YZOKL25FWBJ5FCWLXHNAEY2CNM/
・https://umenou2a.blog.fc2.com/blog-entry-565.html?sp
・https://t-yamada.hatenadiary.com/entry/2020/02/14/195110
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【文 黒蠍けいすけ】