【妖怪ウォッチ研究序説】実は元ネタに忠実だった!妖怪サイボーグ「からくりベンケイ」とは?

※本コラムはゲーム作品「妖怪ウォッチ1~3」をアカデミックに解析し元ネタの特定ほか妖怪伝承について解説していくコーナーです。

「ベンケイ」は薙刀を使いこなすイサマシ族の妖怪。古風な性格で攻撃力も高くバトルでは心強い味方になる。元ネタは平安時代の僧兵(お坊さんの兵士)「武蔵坊弁慶(むさしぼうべんけい)」からと思われる。




「武蔵坊弁慶」は源義経に忠信を誓った家来として活躍し歴史にその名を残している。有名なのは己の修行のため道行く強者から千本の刀を奪おうとした伝説だろう。いくたの戦いの末999本目の刀を手に入れた弁慶は最後の一本を奪うため、牛若丸(後の源義経)へ戦いを挑むが、素早い牛若丸の攻撃に敗れそのまま家来となった。

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このエピソードはそのまま妖怪ウォッチにも反映されており、ゲームではベンケイが仲間になるときに「人生で二度も運命の出会いをするとは……わしはお主についていくぞ」という牛若丸との関係をほのめかす台詞を発するほか、「999本刀伝説」をモチーフにした「九九九刀(くくくとう)」という必殺技を使う。

これは隠し持っていた無数の刀をお腹から発射する豪快な技だ。以上の点から見てもベンケイは元ネタである武蔵坊弁慶にかなり忠実な妖怪の一体といえる。もっとも本物の弁慶が死んだ後に妖怪化したかどうかは不明だが・・・。

また、仲間に「妖怪サイボーグ」という設定の「からくりベンケイ」がいる。これは妖怪・ベンケイが何者かの手によってからくり仕掛けにされた姿だという(もはやなんでもアリである)。

アニメ版に登場したからくりベンケイは「勇者ネジ」と呼ばれる伝説のネジを千本集める旅に出ており、最後の一本を奪うためにロボニャンと戦ったのだが、どのような意図が含まれていたのか不明だが、戦闘シーンに同性愛の描写が含まれていたためBPO(放送倫理・番組向上機構)からクレームが入るという伝説的な回であった。

ちなみに歴史上の武蔵坊弁慶は謎の多い人物として知られており、一部の伝承では「同性愛者だった」という記述もあるらしく、妖怪サイボーグはともかくとして、名前・設定・性格とそのほんどが元ネタに忠実という珍しい妖怪である。

ならもう少し描写に気を遣ってやれよ! という気にもなるが、この大らかさが妖怪ウォッチの魅力である。

(穂積昭雪  ミステリーニュースステーションATLAS編集部 寄稿・ミステリーニュースステーションATLAS)





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