「江戸家猫八」の名跡を巡る奇妙な縁





2016年3月21日、物真似芸人の四代目江戸家猫八さんが亡くなった。66歳の若さだった。

父である三代目江戸家猫八に弟子入りし江戸家小猫としてデビュー。テレビや寄席で人気を博した。2009年には、亡き父の名前を継ぎ四代目江戸家猫八を襲名。芸人として、まさにこれからという時期の急逝であった。

江戸家猫八という名跡の歴史は、割と新しく今から約100年前、三代目の父(四代目の祖父)が名乗った江戸家猫八が初代とされる。

初代猫八は、江戸末期に片岡一蔵門下の歌舞伎役者としてデビュー後、病気で廃業。その後、落語家に転身したもののしばらくして落語も廃業。仕方なく大道芸人として、物真似芸を披露していたところを再度、落語家の三代目柳家小さん一門にスカウトされ江戸家猫八と名前を変え再再デビューを果たしたのだという。

二代目の猫八は、初代の弟子(そのため初代・三代目・四代目と違い血縁関係はない)ではあるが、猫八を名乗ったのは短くたったの8年で、その後は木下華声という漫談家になった。三代目は50年間もの長きに渡り江戸家猫八を名乗り、テレビや映画で役者としても活躍した。シリアスかつ軽妙な芝居で『鬼平犯科帳』にもレギュラーにも登場していたのだが、子供番組にも重宝され『ウルトラマン』では、人間の味方をする怪獣ピグモンの鳴き声を担当していたことは、一部のマニアには有名である。

実は、ここに江戸家猫八の名跡の奇妙な縁ははじまっている。実は前述した二代目猫八(木下華声)も三代目猫八と同時期に怪獣の声を担当しているのだ。東宝映画『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』で木下華声は、善玉の怪獣サンダの声を吹き替えており、聴き比べると両者の鳴き声は確かによく似ている。

二代・三代が子供に愛される怪獣の声を担当していた事実は確かにスゴイが、四代目も負けてはいなかった。現在、30代のファミコン男子には懐かしいゲーム番組『Theゲームパワー』(テレビ東京)および後続番組である『ゲーム王国』まで、約10年に渡りゲーム番組の司会を担当してたのだ。特に物真似をするわけでもなく、また特別ゲームに詳しいわけでもない江戸家猫八(当時は江戸家小猫)と女子プロレスラーのライオネス飛鳥の淡々とした司会っぷりは、当時のゲーム好き男子の(いろいろな意味で)注目の的だったのだ。

二代・三代・四代と続けて子供たちのアイドルだった江戸家猫八。若くして亡くなられたことは非常に残念だが、いずれ登場するであろう五代目・江戸家猫八も未来の子供たちの人気者であってほしいと切に願う。

文:穂積昭雪(昭和文化ライター)





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