都市伝説

創作物に見る予言!荒木飛呂彦、水木しげるは予言者だった。(前編)





作家という仕事をしていると、自分が書いているのではなく何者かに書かされている、と思うことがある。

何者かによって作家の筆を通し、創作物に未来の予言が含まれる可能性があるのではないだろうか。

たとえば、あの有名なタイタニック号に関する予言がある。事故の14年ほど前に、タイタニック号沈没の悲劇を予言した小説があったのだ。それは、「フューティリティ」というタイトルで、作中に出てくる船の名前は「タイタン号」となっていた。

他にも、出向の時期も同じ4月で、航路もまったく同じでサザンプトン港からニューヨークへだ。スクリューの数も3基と同じ数。氷山と衝突し、救命ボートの数が足りずに多数の死者が出ることも一致していた。

このように、創作物で描いた出来事が未来に起こることは希に起こりうる。

前述のケースは海外であったことだが、同様のケースは日本国内でも起きている。私が影響を受けた水木しげるの感覚(妖怪アンテナ?)にも物凄いものがある。

子供時代、テレビで見た水木作品に、チンポという妖怪が出てきた。いくら水木先生の創作妖怪でも、チンポなどという名前の妖怪はないだろう、と子供心にも思ったものだ。

成人してから、私は柳田国男の未公開資料を手にする機会があった。そこには、伊豆の妖怪「チンポふり」という妖怪が掲載されていた。
私はまさかと思った。水木先生はこの資料を読んでいないはずなのだ。

また、油すましの取材で熊本県の天草の離島へ行った時のことだ。地元の人の案内で、油すましの出た現場を訪れ、持参した水木しげるの妖怪図鑑と見比べると周りの風景がそっくりだった。

「さすが水木先生だ。油すましの出た現場を忠実に再現されている」

私が感心すると、地元の方は「この場所は最近特定されたんですよ」と言うではないか。しかも、作家でこの場所に案内したのは私が初めてだという。
あの油すましの出現場所のイラストは、水木先生がイメージだけで描かれたのだ。

一流の漫画家のイマジネーションは、まさに透視能力並だ。

楳図かずおの「14歳」という作品では、発表後にサカキバラの犯罪が起こり、14歳という年齢が社会問題になった。食肉や虐待された動物たちの怨念から生まれたキャラクター・チキンジョージは、現在の狂牛病・鳥インフルエンザを表現してないだろうか。

他にも、無意識な想像が現実に合致する場合もある。(後編に続く)

山口敏太郎