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明治初期、日本の新聞で紹介された「サンフランシスコのリアル野生児」

今回ご紹介するのは、今から約140年ほど前、1875年(明治8年)に発行された読売新聞に掲載された「野生児」に関する記事である。

「野生児」とはなんらかの事情により人間社会から隔離された環境(ジャングルなど)で育った少年・少女のことである。日本では、野生の狼に育てられた二人の少女『アマラとカマラ』のエピソードがつとに有名であるが、『アマラとカマラ』が日本へ紹介されたのは1955年頃のことで、今回ご紹介するエピソードはそれよりも80年も前に公表されたデータとなる。






1875年2月13日、読売新聞によると、亜米利加(アメリカ)のサンフランシスコで二人の野生児が現地の漁師の手によって発見され保護されたという。

この野生児二人は保護施設に収容されたが、人間の食べ物は一切口にせず、生肉を好み、お湯を嫌い、服を着るのも嫌がったといわれ、当然言葉も喋ることができなかったという。

二人いた野生児のうちの一人は保護されてから2年後に黄熱病に罹って死亡したが、もう片方は1875年の時点に於いては元気に暮らしていたらしく、言葉には相変わらず不自由していたようであるが、生肉ではない人間の食べ物も少しづつ口にするようになったという。




記事によると、この二人の野生児は犬のように食べ物の匂いを嗅ぎ、気に入らない食べ物は投げ捨てるといった行動を見せたことから、狼に育てられたことは間違いないだろうと当時の読売新聞に書かれていた。

なお、読売新聞は1874年11月2日が創刊日のことから、本記事は読売新聞の発行からわずか3ヶ月目に掲載された記事だった。そのような訳で、本記事が国内における「野生児」に関する情報がはじめて一般へ公開された資料ではないかと推察される。

(文:穂積昭雪  ミステリーニュースステーションATLAS編集部)