フリーメイソン、迫害の歴史を伝えるシンボル「勿忘草(わすれなぐさ)」

世界的な秘密結社とされる組織「フリーメイソン」。

フリーメイソンのシンボルといえば、コンパスと定規を組み合わせたものや「プロビデンスの目」などが有名だ。そんな一種独特な雰囲気をまとったシンボルの中に、異彩を放つシンボルが存在している。

5枚の花弁を持つ青く小さな花をかたどったものだ。フリーメイソン関連の商品を見ていくと、小さな花を一つあしらったタイピンや、複数の青い花が添えられたシンプルなアクセサリー、青い花のドライフラワーを樹脂に封じ込めたもの等が見て取れる。様々なフリーメイソンのモチーフの中で異彩を放つこの青い花は何なのだろうか。

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The Masonic Forget-me-not






実はこの花は「勿忘草」をかたどったもの。英語で「Forget me not」、「私を忘れないで下さい」という意味を持つこの花がなぜフリーメイソンのシンボルに用いられるようになったのか。その背景には、フリーメイソンの数奇な歴史が深く関係している。

よくフリーメイソンは各国の政府を裏で操っているとか、戦争を仕掛けているとか、陰謀論では黒幕のように扱われることが多い。しかし実体は任意団体にすぎず、また日本ではフリーメイソンの理念や歴史からユダヤ陰謀論とつなげて考えられる事が多いが、フリーメイソンの理念はむしろキリスト教プロテスタントの影響が強い上に信教の自由の考えからユダヤ教やイスラム教信者の加入も許可していたという背景がある。

そんなフリーメイソンは第二次世界大戦中も迫害に遭うことになる。ナチス・ドイツの成立にフリーメイソンの影響があったことは確かなのだが、後にナチス・ドイツは信教の自由を迫害。ユダヤ人と共にフリーメイソンも迫害の対象となり、ドイツのフリーメイソンは解散にまで追い込まれてしまったのである。

しかし、それでもフリーメイソンの理念を失わず、一員でありつづけようとした。そこで自身がフリーメイソンの一員であることを示すため、「Forget me not」、勿忘草を印として用いるようになった。そして第二次世界大戦が集結した後も、この迫害の歴史を忘れることのないように、シンボルとして認定されたのだという。

小さく可憐な青い花は、秘密結社フリーメイソンの数奇な運命を今に伝えるものとなっている。

(加藤史規 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

画像©PIXABAY

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