成長によって姿を変え、再び生まれ変わる天狗世界の幻獣「もぬけ」





 江戸時代の思想家、平田篤胤が天狗にさらわれて天狗の世界にいき、修行までしたという少年・天狗小僧寅吉から聞いた言葉を記した書物「仙境異聞」に出てくる妖怪が「もぬけ」である。

 彼の言によれば、「もぬけ」は非常に長く生きる猿に似た妖怪だという。

 この猿に似た妖怪は成長するごとにすさまじく大きくなり、頭に長い毛を生やし目が光るようになり、二足歩行して「自在の術を得」すなわち神通力まで使うようになると言う。そして数千年生きたところで自ら火を発して体をすべて燃やしてしまうという。



 ところが、その燃えてしまった中に人に近い、毛も生えていない生き物が残る。これがこの妖怪の幼体であり、成長してまた猿のような姿になっていく。こうやって代替わりをする妖怪だと紹介している。

 そして、寅吉は師匠の天狗にこの妖怪が自ら焼け死んで後、体内に子供らしき生物が残っている様を実際に見せられたとも語っている。

 この妖怪の伝説は様々な幻獣や妖怪の話をつぎはぎしたような所があるが、非常に独創的で面白い特徴を持つ妖怪ともいえる。

(田中尚 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

画像©PIXABAY

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