昭和の子供向け妖怪図鑑は、子供向けに色々インパクトの強い表現や表記を行い、当時の子供達に多大な印象を与えた妖怪を掲載していたものが少なくない。
まずは「世界妖怪図鑑(立風書房)佐藤有文」にあるかなり強引な文章を飲用してみよう。
エスキモーという言葉は不適切であり、現在はあまり使用されてないが、昭和の子供における創作妖怪の雰囲気を感じてもらうためにあえて原文そのままにした。
「アラスカのエスキモー民族に信じられているすばらしい妖怪。大きなみのを着てあたたかそうな姿をしている巨人に、命をあずけることを約束すると死んでからも、ごくらくのようにあたたかく暮らせるという」(原文ママ)
この妖怪についてはエスキモー民間伝承と紹介されているが、該当する伝説がないため佐藤有文氏の創作と考えられている。そもそも北極なのに「みの」とか「ごくらく」という設定?はいかがなものかと思うが、イヌイットの神話では、このような古い種族(巨人族とも呼ばれる)が元々北極に住んでいたとされている。
また、この伝説では更に巨人族の娘・セドナ(海の女王とも呼ばれる)が父親に、罰としてイヌに嫁入りさせられた。その結果、イヌとセドナの間に生まれたのが、現在の人間だと続いている。この女性とイヌの結婚などは異類婚姻譚の典型的な例で、日本では里見八犬伝にそのパターンが踏襲されている。
実際の伝承と、現地に残る絵などから考えだされた新たな妖怪が「ごくらく巨人」など昭和の妖怪図鑑に登場する妖怪たちだったのかもしれない。
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(山口敏太郎 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
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