妖怪

猫に変じ、天へ昇った老婆「猫多羅天女」

鳥翠台北茎の記した江戸時代の文献「北国奇談」に「猫多羅天女」の記述がある。

それによると、佐渡国にある老婆が1人で住んでいた。夏の夕暮れのこと、一匹の老猫が老婆を慰めるように砂の上で転がり始めた。老婆はその猫の様子を見ているうちに嬉しくなって、猫と一緒に遊びはじめた。

数日後、老婆は自分の体が妙に軽い事に気がついた。




そのうち老婆の体からは猫のような毛が生えてきて、飛行自在の術を会得してしまった。老婆の顔も変わり果て、まるで化け猫のようになってしまったため、周囲の人々は老婆を恐れて近寄らなくなってしまった。

妖怪のような姿になった老婆は雷を轟かせながら天空を駆け巡り、越後の弥彦山へ飛んでいって大雨を何日も降らせた。人々は老婆を畏怖し、「猫多羅天女」と名づけて祀ったという。

年に一度、猫多羅天女は佐渡の方へ飛んで行くという。この日には激しい雷を伴う雨が降るのだそうだ。

(山口敏太郎事務所 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

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