昭和の名女優B、楽屋から聞こえてくる話のお相手って誰?

 かつて昭和期に大活躍した女優Bは晩年、重度の痴呆症に悩まされていたという。

 Bは全盛期には映画や舞台に主演。中年以降は連続ドラマへレギュラー出演するなど、長年に渡って出演した名女優だったのだが、よる年波には勝てず、後年出演した舞台ではBの世話をするスタッフは毎日のように悩まされていたという。

 これはあくまで噂なのだが、Bの痴呆症が進行した頃、彼女の楽屋に毎日のように来客がやってきたことがあったという。

 Bは来客とのお喋りを非常に楽しんでおり、楽屋から明るい笑い声が漏れてくるほどだった。

 しかし、ある日のことである。




 その日はBまで来客予定などは特になかったはずである。打ち合わせに訪れたスタッフは「あれ?今日は来客の予定はないはず?」と訝りながらもBの楽屋のドアを開けると、なんとそこには彼女の姿しかなかったのである。

 「B先生。誰かと電話で話していたんですか?」

とスタッフが聞くとBは睨みつけるように、

 「何言ってんの。目の前にA先生がいるじゃないのよ!」

と一喝したという。

 彼女の語るA先生とは、戦後の有名作家で、その時には既に鬼籍の人である。

 「ごめんなさいね、A先生」

と語るBの目の前には、猿のヌイグルミがひとつポツンと置かれていたという。




 異変を感じたスタッフはすぐさま、舞台監督に今起こった出来事を話し、その後Bに舞台を降板してもらったという。

 しばらくして芸能界自体からも引退し、Bは老人ホームに入居しそのまま亡くなったと伝わっている。なお、Bが作家Aと思い込んでいた猿のヌイグルミは彼女と一緒に荼毘に付されたという。

(若葉イチロウ ミステリーニュースステーション・アトラス編集部)

画像©PIXABAY

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