【実話怪談】おかえりなさい

(証言者 茶羅尼さん 大坂生まれ 大坂在住 女性 僧侶 40代)

 茶羅尼さんは、小さい頃から将来の夢は尼僧になることであった。
 そんな彼女に突然、奇妙夢見が始まる。何故か「私が体験したことのない私」の夢を見ることが多くなったのだ。
 



 乳飲み子を胸に抱いて人混みを逃げている自分
 小さな子供の手をひいて夕焼けを眺めている自分
 
 それは、単なる夢として片付けるには、あまりにも現実感のあるものであった。
 その一連の夢の中でも、彼女にとって最もリアリティのあった夢が次のようなものである。

 座っている自分がおり、足首にはアンクレットのような金銀の飾り、手首にも多くの飾りがついている。また右の膝を立て左の足は寝かせ、そして器用に足の裏同士をくっつけているという奇妙なポーズをとっていた。

 目覚めて冷静に考えたのだが、この仕草は如意輪観世音菩薩ではないだろうか・・・。

 彼女はこの不思議な夢に困惑し、思考を続けたが、その当時ご縁のあったお寺さんが西国三十三箇所のお参りに行くという話を耳にし、同行させて頂く事にした。




 お参りする寺ごとに般若心経を唱え、最後にお参りをした寺のご本尊様は、夢に出てきた如意輪観世音菩薩であった。彼女が本堂にあがると、うっすらと白く、黄金色の細長い光りに包まれているような気配を感じた。無論、体のあるものではない。

 (この光は如意輪観音様ご自身なのか?)と思った彼女は、光の中に顔の部分をじっとみつめた。すると声が聞こえた。

 「よくかえってきました。おかえりなさい」

 静かでありながら力強い声がした。同時に、あわせていた手をそっと両手で挟んでくださるような感覚がした。

 「さあ、いってらっしゃい」

 晴れやかな音色の声が彼女の耳に届いた。
 その時、彼女は僧の道を選ぶことに決めたという。

 僧侶になる方は、兎角不思議な縁に誘われて僧になることが多い。
 今後は心霊体験以上に、それに相対する仏様体験なども調査、分析の必要があるのではないだろうか。私は心霊との遭遇、神仏との遭遇、どちらも裏表で、ひとつの不思議ワールドへの扉なのだと確信している。




 最後に彼女は自分のこれからの僧として生き方をこう語った。

 「『おかえりなさい。いい人生でしたね』と迎えていただきますように、私も胸を張って如意輪観音様の元へ戻れますように生きていこうとしています」

(聞き手 山口敏太郎 ミステリーニュースステーション・アトラス編集部)

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