旗と呪術 “錦の御旗”に込められた意味とは

 旗には呪術的な意味がある。

 旗を振る行為、天高くはためかせる行為は、旗に込められた呪術的なパワーを周囲に拡散する作用がある。つまり、旗とはその旗下に集まった人間たちの共通の志や想い、理想や希望が込められており、それを風に当てることで呪術的なパワーを周辺地域に顕示し、人々にそのパワーを認識される意味があるのだ。




 たとえば、日本の戦国時代や中国の春秋戦国時代においては、各国がそれぞれ旗印を掲げることで相手を挑発したり、震撼させる意味もあった。合戦において敵軍に旗を奪われることは屈辱とされ、本陣の旗を奪われることは敗戦に近い意味を持っていた。上杉謙信や武田信玄の旗印は、合戦場ではためくだけで相手を敗走させたと言われている。

 また、赤十字の旗は攻撃をしてはいけないという意味であり、海賊船の髑髏旗は死と略奪という宣戦布告の意味があった。

 また自らの正当性を意味する旗として”錦の御旗”という旗がある。別名菊章旗とも、日月旗とも呼ばれており、赤地の錦に、金色の日像と銀色の月像を刺繍で施したこの旗は幕末の戊辰戦争にて官軍が効果的に使用し、賊軍になることを恐れた各藩をひるますことに成功した。




 この””は、後鳥羽上皇が承久の乱(1221年)において配下の武将たちに授けたのが始まりと言われているが、その後天皇の命を受けた”官軍”の正当性を裏付ける証拠になった。

 現在では、誰にも反論できない口実をさして”錦の御旗”と呼ぶ表現があり、本質的に意味が変わってしまっており、筆者としては残念な想いもある。

(山口敏太郎 ミステリーニュースステーション・アトラス編集部)

画像 ©PIXABAY

関連記事

最近の投稿

ページ上部へ戻る