妖怪・幽霊

【実話怪談】あしあとひとつ

どこの学校にもよくある、七不思議にもならない些細な、しかし奇妙な出来事のひとつに「天井についた足跡」がある。

教室や、時には体育館のような非常に高いところの天井に、判で押したようなやたらくっきりとした足跡がぽつんと着いている、というものだ。

教室ならば頑張れば届くような気もしたが、2?3階分の吹き抜けである体育館の天井は、さすがに難しいのではないかと思えて小学生当時は不思議でならなかった。




しかし冷静に考えると、同時に体育館の屋根や梁には絶妙の角度で引っかかっていたり挟まっているボールや縄跳びの縄、上履き等が残っていたので、やはりいたずらとしても「やってやれないことはなかった」のだろう。案外足跡をのこした本人からすれば武勇伝になっていたのかもしれない。

閑話休題。もちろん筆者の学校にもそのような奇妙な足跡が体育館にぽつんと残っていたりして、やはり学校では誰の仕業かと話題になっていたのだが、中でもわけのわからない足跡がひとつあった。

それはプールサイドに残されていた。

筆者の学校では毎年プール開きの前になると、5、6年生が総出で掃除する事になっていた。当時の筆者は5年生。仲のいい子たちとブラシやたわしで掃除をしていたのだが、ふとプールサイドに奇妙な汚れを発見した。

それははじめ、泥か砂でうっすら残った汚れに見えた。そこで全員で水をかけ、たわしでこすってみたのだがいっこうに落ちる様子がない。それもそのはず、その足跡はプールサイドのペンキがその部分だけ剥がれてできたものだったからだ。

何をどうやってきれいな足形としてペンキが剥げたのか、どれだけ考えても分からなかった。

その夏はプールの授業の度にこの足跡の話で持ちきりになった。




さて、次の年もまたプールの授業前に高学年が揃って清掃する事になった。誰言うともなくあの足跡の話になり、もう一度見てみようと言う話になったのだが、不思議と見つからない。

一体何処に? 気のせいだったのか…? そう思っていたら、プールの反対側で別の子達が「変な足跡がある!」と騒ぎ出したのだ。

近寄ってみれば、ペンキのはげた後が足跡のようになっている、正しく同じ足型だった。

プールを半周ほども移動していた事を除いては。

(ミステリーニュースステーション・アトラス編集部)