【妖怪ウォッチ研究序説】神話にも登場する、古来からのひねくれもの「あまのじゃく」

※本コラムはゲーム作品「妖怪ウォッチ1~3」をアカデミックに解析し元ネタの特定ほか妖怪伝承について解説していくコーナーです。

素直じゃない人、思っていることと正反対の事を言うようなひねくれた人のことを「あまのじゃくのような人」と呼ぶのを聞いたことがある人もいるかもしれない。

あまのじゃくは「どんな事も素直に受け入れられない、あまのじゃくな人に」してしまうという、古式ゆかしい習性をもつ妖怪だ。




あまのじゃくの歴史は古く、その出自は神話にまでさかのぼる。神話でヤマタノオロチを退治した神、スサノオノミコトが吐き出した邪気が固まってアマノザコという女神になったというものだ。

この女神は非常に気性が荒く、何でも自分の思い通りにならないと気が済まなかった。そして自分に逆らう相手は神だろうと人だろうとかまわず打ち倒してしまったという。

このアマノザコは後に天狗や鬼の祖先になったともされており、それを反映してか江戸時代などの天邪鬼の絵は天狗のように鼻が長く、鬼のような顔をした天女の姿で描かれることがある。

また、日本神話にはうそを吐いて神様のお使いを殺させる『天探女』という女性が登場する。あまのじゃくがひねくれ者でうそつきなのは、この神話に登場する二人から来ているとされている。




そして、仏教が入ってくると四天王や仁王といった荒々しい仏様に常に踏まれているという姿で像にされるようになった。

あまのじゃくのようなひねくれた心は皆が必ず持っている物なので、それを押さえられるように仏様に踏みしめられた姿で表現されるようになったのだ。

(黒松三太夫  ミステリーニュースステーションATLAS編集部 寄稿・ミステリーニュースステーションATLAS)

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