【実話 ちょっと怖い話】四国犬神一族の”おたぬきさん”

 タヌキというと、昔話や「平成狸合戦ぽんぽこ」で描写されるように、人を化かすこともあるが少しドジで憎めないユーモラスな存在とされる事が多い。

 同じ人を化かす存在でも、狐や猫には悲壮さや人の怨念が絡んでいるイメージが強いが、狸の場合はもう少し穏やかな印象を受けるものだ。

 だが、新潟県の佐渡や四国など、狐がおらず狸だけが化かす存在であるという伝説のある地域では、狸にまつわる壮絶な伝説が残っている所もある。




 また狐が人に憑いて害をなしたり、人が変わったようになる「狐憑き」なるものがあるが、同様の現象は狸でも起こりうる。

 高校時代、筆者は徳島県立城南高校に通っていた。なかなか自由な校風で各分野に多くの人材を輩出している。

 高校二年の時、そこで奇妙な事件が起こった。廊下で他 の友人Tくんが、Iくんとプロレスゴッコをしていた。そのTくんが廊下で、数人を放り投げながら、大暴れをしているのである。日ごろの彼は非常に温厚な人物であり、こんな暴力的な人物ではなかった。

 唖然としている筆者や投げ飛ばされた仲間たちを尻目に、Tくんは猛スピードで学校から走り出ていった。その場にいたTくんに確認するとこんなことを教えてもらった。

 「ああっ、時々ああなるんだよ。人柄が変わちゃってどうしようもない。力も人間の力とは思えないし、彼の家は狸を信仰しててね、狸が降りてくると突然山に行きたくなるんだ」

 Iくんの家は”おたぬきさん”と称する犬神のような憑き物を信奉しており、土着の教団を父親が組織している。時々憑依されると高校の近くにあった眉山に登りたくなり、大暴れするというのだ。




 2015年筆者は高校の同窓会に出た。卒業して30年も経つと数名な同級生が命を落としているものだが、なんとIくんもこの世を去っていた。

 もはやその時の不思議な現象を確認する方法はないのだが、人間に人ではないものが憑依するということは一体どういうメカニズムなのかと不思議に思ったものである。

(山口敏太郎 ミステリーニュースステーション・アトラス編集部)

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